事務所概要

事務所名山本春雅税理士事務所
所長名
山本 春雅
所在地
〒104-0045
東京都中央区築地
5-4-19-903
電話・FAX03-6264-2616
業務内容・法人税・所得税・消費税の申告書・届出書の作成
・資産譲渡・相続・贈与の事前対策、申告書の作成
・税務判断に関する相談
・税務調査の立会い
・創業・独立の支援
・事業承継対策
・自計化システムの導入支援

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山本春雅税理士事務所は
TKC全国会会員です
TKC全国会
TKC全国会は、租税正義の実現をめざし関与先企業の永続的繁栄に奉仕するわが国最大級の職業会計人集団です。

 東京税理士会 

税務・会計トピックス

在宅勤務手当の税務・会計上の取り扱い

新型コロナウイルス感染防止を目的としたテレワークの導入により、在宅勤務手当(テレワーク手当)を支給する企業が増えてきています。

在宅勤務手当を支給した場合、どのような点に留意すべきでしょうか?

以下の内容は、社員に対して一律に一定額を支給する場合を前提に記載します。具体的には、在宅勤務を行った日のみを対象に1日当たり××円と金額を定めて支給する場合や、在宅勤務の日数にかかわらず、月額××円などと定めて支給する場合を前提としたものです。     

<ポイント>

  • 在宅勤務手当は所得税の課税対象(非課税となる実費精算は後述)。社会保険料の計算では報酬に含める。
  • 在宅勤務手当は損金算入。消費税は課税対象外。
      

在宅勤務手当は、実費精算となる費用とは異なることから、社員の所得税は課税されます。

支給した企業では損金算入となり、消費税は課税対象外です。

厚生年金保険料は健康保険料などの社会保険料の計算においては、報酬に含めます。

従来の通勤手当を廃止または実費精算として、新たに在宅勤務手当を導入した企業においては、所得税や消費税の取り扱いが異なりますので留意が必要です。


■■ 2021年1月追記■■

20211月に国税庁が「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」を公表しました。この中で、通信費・電気料金を実費精算する場合には給与課税の必要がないことが示されました。以下にその概要を記載します。


(基本的な考え方)

1.実費精算

 給与課税の必要なし(通信費・電気料金を合理的な方法で算出する場合については後述)

2.在宅勤務手当(実際の金銭の使用にかかわらず支給する渡切のもの)

 給与課税の必要あり


(通信費の実費精算)

従業員個人の携帯電話や自宅の固定電話を業務に使用する場合、通話明細書等により業務で使用した通話料金を対象に実費精算したものは、給与課税の必要がありません。

営業担当のように業務のための通話を頻繁に行う従業員の通話料については、通話明細書等により業務で使用した通話料金を計算することに代えて、例えば、次の算式により算出した金額を業務で使用した通話料金とすることができます。

また、基本使用料やインターネット接続料などについても業務で使用した部分を合理的に算出した場合には、給与課税の必要はありません。例えば、次の算式により算出した金額を業務で使用したものとすることができます。

 A×(BC)×(1/2)

A:従業員が負担した1ヵ月の基本使用料、通話料、インターネット接続料、データ通信料(電話本体の購入代金や補償料、音楽・動画などのサブスクリプションの利用料などは含みません)

B:その従業員の1ヵ月の在宅勤務の日数

C:該当月の日数


(電気料金の実費精算)

在宅勤務を行う場合の電気料金についても、業務で使用した部分を合理的に算出した場合には、給与課税の必要はありません。例えば、次の算式により算出した金額を業務で使用した部分とすることができます。

 A×(BC)×(C/D)×(1/2)

A:従業員が負担した1ヵ月の電気料金や電気使用量

B:業務のために使用した部屋の床面積

C:自宅の床面積

D:その従業員の1ヵ月の在宅勤務の日数

E:該当月の日数


(私見)

非課税の適用を受ける場合、企業としては手間がかかる、従業員としては知られたくない情報を会社に提出しなければならないので、使い勝手が悪いという意見をお持ちの方が多いのではないかという印象です。

個人の通信費・電気料金については口座引き落としやカード決済が進んでおり、郵送(紙)での利用明細を入手していない人も多いと思います。また、電気料金の検針日の多くは月末ではないため、どの期間の電気料金を当月の実費精算としてよいのかという疑問もあります。このような状況下で毎月実費精算を行うのは、企業にも従業員にもそれなりの負担が生じます。

自宅については、オール電化のもの、電気のほかにガスや灯油を使用しているもの、太陽光発電を設置して売電との差額の料金を負担または受領しているものなどさまざまです。また、FAQでは通信費と電気料金は記載されていますが、ガス代や灯油代(これらを暖房等で使用している方も多いと思います)、上下水道料金の実費精算は非課税という記載がない(取り扱いが明確ではない)ため、不公平感や実務において混乱が生じる可能性があります。

非課税を設ける場合、在宅勤務手当も対象に含めて在宅勤務1日当たり××円または1月当たり××円までは非課税という制度にしたほうが簡素で利用しやすい制度になると感じています。